(2)システムインテグレーションサービス契約の問題点

 ここでは法的な責任制限という観点からのみシステムインテグレーションサービス契約についてみていくことにする。

1)システムインテグレーションサービス契約の契約方法

 システムインテグレーションサービスの業務内容については、一般的には前述したように分けることができるが、各社各社のシステム開発の方法論の違いによって異なってくるであろう。本書では、便宜上、下記のように区分して話を進めていくことにする。

 ①システム化計画

 ②システム設計(基本設計、概要設計)

 ③詳細設計

 ④ハードウェアの選定

 ⑤プログラム作成

 ⑥テスト

 ⑦教
 

 ⑧導入準備・移行

 ⑨保
 

 ⑩運
 用                                    

 一般にシステムインテグレーションサービス契約というのは、前述したようにこれらの業務を一括して請け負う形態であるが、具体的な契約方法としては、

 ①1つの契約で行い価格もシステム価格として一括で決める方法

 ②最初に基本契約を締結し、各工程ごとに契約方法、委託金額を決める方法

とに大別できるであろう。

 第6章で繰り返し述べたように仕様が定まらないのに請負契約を締結することはきわめ
て危険なことである。本書ではこのような考えを根底において、それぞれの工程ごとにふさわしい契約形態をとることを前提に話を進めていく。以下にシステムインテグレーションサービス契約の契約方法の一例をまとめておく。

 具体的には、まず基本契約を締結し、システムの仕様が確定するまでと仕様が確定した後とに分けて、それぞれ別々の個別契約を締結するということにする。このために個別契約は、①基本計画、②システムの基本設計・概要設計、③詳細設計・プログラムの作成・テスト、④教育、導入準備・移行、⑤保守、⑥運用というように6段階に分けることにする。④については事前の見積もりが可能であれば、③に含めてもよいであろう。

2)システムインテグレーションサービス契約の問題点

 システムインテグレーションサービス契約の問題点も、基本的には第6章で述べたソフトウェア開発委託契約の問題点と変わらないが、再度、問題点及び検討事項を整理しておくと以下のようになる。

 ①業務内容

  ・作業項目
  ・成果物
  ・成果物の記述様式

 ②プロジェクトの運営方法

  ・ユーザーとの役割分担
  ・ユーザーの参画
  ・プロジェクトの運営方法                          
  ・プロジェクト管理の方法と主体                       

 ③委託金額

  ・委託金額の算定方法(定額、実績)                     
  ・プロジェクト管理費の取り扱い
  ・成果物の作成が伴わない業務への対応(教育・導入準備・移行など)
  ・委託金額の除外項目
  ・委託金額の支払い方法                           
  ・委託金額の変更                              

 ④ユーザーのところでの業務の実施

  ・指揮・命令方法
  ・作業実施上の規則                             
  ・作業場所と費用負担
  ・備品と費用負担、電話・消耗品の取り扱い

 ⑤開発環境

  ・開発マシンと負担
  ・テスト環境と負担

 ⑥スケジュール

  ・納期                                   
  ・納期の変更
  ・納期遅延の措置                              

 ⑦契約解除                                  

  ・約定解除理由と解除方法(ユーザーからの解除、ソフトウェア会社からの解除) 
  ・解除された場合の成果物の取り扱い                     
  ・中途解除と委託金額の支払い

 ⑧再委託                                   

  ・再委託できる部分
  ・機密保持

 ⑨機密保持

  ・機密の定義
  ・機密保持方法
  ・機密保持期間
  ・外注先との問題、従業員の退職

 ⑩ハードウェアの選定と取得・責任

  ・ハードウェアの選定についての責任                     
  ・ハードウェアの取得方法
  ・ハードウェア障害についての責任

 ⑪権利の帰属

  ・ソフトウェアの権利の帰属
  ・ソフトウェア会社で留保しておく部分                    
  ・開発の成果の権利の帰属
  ・同種サービスの第三者への提供

 ⑫担当者                                   

  ・担当者の選任                               
  ・担当者の変更と遅延

 ⑬責任制限                                  

  ・完成できなかった場合                           
  ・瑕疵担保責任の範囲                            
  ・保証

 ⑭責任を負う限度

  ・責任限度額

                                

 

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