(3)契約1に準じたプログラミングについての標準的基本契約書(契約3)

 契約3は、プログラミングについての請負基本契約書例であるが、契約1に準じたものである。ここでの作業は、ユーザーより仕様書の交付を受けて、それに基づきプログラミングを行うということである。このために、第1条でこのことを明確にうたっている。

 ユーザーの事業所で作業をまったくしないということであれば、契約1の契約条項のうち第6条、第7条の労働者派遣法を意識した条項は必要がなくなる。しかし、プログラミングの請負契約であってもテストなどで、ユーザーの事業所で作業をすることが多々あるため、これらの条項が盛り込まれている。

 個別契約の締結について、契約1では、双方が連署する形式の契約書を用いていたが、ここでは注文書と請書の交換によって個別契約を成立させている。

 また、請負金額の支払いについては、一定限度を超える金額の場合は分割請求ができる旨を定めている。

 第16条の責任制限については、ここでは「間接損害及び特別事情による損害について
は免責される」旨を規定しているが、これは契約1の第18条と同様のものである。

 契約3 プログラム作成請負基本契約書


プログラム作成請負基本契約書

            
                を甲とし、           を乙として、 甲と乙とは、以下の約定によりプログラム作成請負基本契約を締結します。    

 第1条(適用)                              

 本契約は、甲が乙に対してプログラム作成のための仕様書を基にプログラム作成業務(以下、本件業務といいます)を委託し、乙がこれを請け負うすべてのプログラム作成委託個別契約(以下、個別契約といいます)に適用されます。        

 第2条(本契約の有効期間)                        

 本契約の有効期間は、本契約締結の日から1年間とします。ただし、期間満了の60日前までに、甲、乙いずれかが書面による本契約の終了の意思表示をしない限り、期間満了の翌日から1年間延長されるものとし、その後も同様とします。     

2 前項に定める本契約の有効期間内に成立した個別契約は、本契約の有効期間
 にかかわらず、個別契約に定める期間中、有効に存続するものとします。 

 第3条(個別契約の成立)                         

 個別契約は、本件業務の内容、請負金額、納期など必要な事項を明記した注文書を乙に交付し、乙の請書が甲に到達したときに効力が発生します。         

 第4条(請負料金と支払い)                        

 請負料金は、個別契約で定めます。                     

2 甲から注文があった場合、乙は個別契約に添付するプログラム作成のための仕
 様書を基に請負金額を見積もり、甲と協議のうえ合意した金額を請書に記載若しく
 はその見積書を添付して定めます。                      

3 乙は、第9条の検査終了後に請求書を発行し、甲は、請求のあった月の翌月末
 日までに全額を現金で銀行送金で支払います。ただし、請負料金が500万円を超
 えるときは乙は分割請求ができるものとします。                

 第5条(請負料金の変更)                         

 請負料金算定の基礎となる個別契約に添付した仕様が変更した場合、甲、乙協議のうえ個別契約に定める請負料金を変更することができます。           
                                      
 第6条(指定実施場所)                          

 本件業務の実施上必要のある場合、乙は、本件業務を甲の事業所もしくは甲の指定する場所(以下、合わせて指定実施場所といいます)において実施します。    

2 乙が本件業務を指定実施場所で実施する場合、甲は乙のため独立した作業場
 所、その他必要な備品、電話、複写機等を乙に提供するものとします。

3 作業場所及び備品等の使用料は無償とします。電話代、複写機についての費用
 負担は個別契約で定めます。                         

4 乙は、貸与を受けた物件を善良なる管理者の注意義務をもって保管し、個別契
 約で定める期限までに返還します。                      

5 コンピュータ、端末機器の使用については別に定めます。          

6 乙は、指定実施場所の使用にあたり、甲もしくは甲の指定した者の定める規則を
 遵守し、指示に従い、その秩序維持及び安全衛生の確保に努めるものとします。

 第7条(指揮命令の禁止)                         

 前条に基づき指定実施場所において本件業務を実施する場合といえども、甲は乙の技術者に対して直接の指揮命令はできません。                 

2 指定実施場所において本件業務を実施する場合といえども、乙の技術者は乙の
 定めた就業規則等が適用されます。                      

 第8条(資料等の管理)                          

 乙は、本件業務のために甲から提供を受ける仕様書等一切の資料について善管注意義務を負い、保管管理に一切の責任を負います。                

 第9条(成果物の納入及び検査)                      

 乙は、個別契約で定める成果物を個別契約で定める期限に納入場所に納入し、甲の検査を受けるものとします。                         

2 甲は、乙から成果物が納入された場合、個別契約で定める期間内に検査を終了
 させ、その結果を乙に通知します。                      

3 個別契約で定める検査期間を経過しても甲から何らの通知がないときは、前項
 の検査に合格したものとみなします。                     

4 検査中の成果物に対する機能変更、機能追加作業は、これを独立の業務とみな
 し、甲は別に委託契約を締結することによって乙に委託できます。       

5 下記の一つにでも該当する事由があるときは、乙は、個別契約で定める納入期
 限の変更を求めることができます。                      

 ①個別契約の締結後に甲が仕様を変更したとき                

 ②個別契約に添付する仕様書に誤りもしくは不明確な部分があったとき     

 ③天災地変等乙の責めに帰すことのできない事由が生じたとき         

6 前項の場合、甲、乙は協議して納入期限を変更し、甲は変更した納入期限を書
 面で乙に届け出るものとします。                       

 第10条(再検査)                            

 前条の検査の結果、乙の責めに帰すべき事由による瑕疵または本件業務の未完成が明らかになった場合、乙は、甲、乙協議のうえ定める期間内に瑕疵の補修または本件業務を完成させたうえ、甲の再検査を受けるものとします。           

2 再検査についても前条の規定を準用します。                

 第11条(権利の帰属)                          

 個別契約に基づき作成された成果物の所有権、著作権は、甲が個別契約で定める請負料金を全額支払うことによって、乙から甲に移転します。ただし、乙が作成した共通的に使用されるモジュール ルーチンについての著作権は乙において留保するものとします。                                 

2 前項の移転する権利には、著作権法第27条、同28条の権利を含みます。  

 第12条(機密保持)                           

 乙は、本件業務の遂行によって知り得た甲の技術、財務、生産、営業等についての機密を保持する義務を負います。                       

2 甲は、乙が納入する成果物に含まれる乙独自のノウハウその他技術上の機密を
 保持する義務を負います。                          

3 前項、前々項の規定は、本契約及び個別契約の終了後も有効に存続します。

 第13条(同種サービスの提供)                      

 乙は、第11条、第12条の規定にかかわらず甲の営業品目と類似した品目を取り扱う第三者に対して本契約と同種の業務を行うことができます。         

 第14条(無償補修)                           

 個別契約で定める保証期間内に乙の責めに帰すべき理由により生じた隠れたる瑕疵が発見されて、同期間内に乙に対して通知があった場合、乙は無償で補修を行います。この場合の甲に対する救済手段は瑕疵の無償補修に限られます。

2 保証期間経過後の保守については、甲、乙協議のうえ別に保守契約を締結します。                                   
 第15条(履行遅滞の責任)                        

 乙は、個別契約で定める作業期間、成果物の提出期限が遅延すると判断した場合、ただちに甲に通知しなければせなりません。                  

2 乙が前項の通知をした場合及び第9条の検査の結果、再検査を受けるために本
 件業務の完成が遅れた場合並びに瑕疵の補修を行ったために本件業務の完成が
 遅れた場合、甲は、乙に対して遅延損害についての損害賠償等の請求はできませ
 ん。

 第16条(責任制限)                           

 不完全履行及び隠れたる瑕疵によって、乙が繰り返し補修等を行ったにもかかわらず第14条の無償保証期間を経過してもその解決の見通しがたたない場合、乙は、甲が現実に被った損害について、個別契約の請負料金を限度として金銭による損害賠償 をします。乙は、甲の間接的 派生的な特別損害については、一切責任を負いません。その他、乙がその責めに帰すべき事由によって甲に損害を与えた場合についても、その請求原因の如何を問わず同様とします。                

 第17条(権利義務の譲渡禁止)                      

 甲乙双方とも、本契約及び個別契約に関連して生じる権利又は義務を第三者に譲渡し、承継させてはなりません。                        

 第18条(解約)                             

 甲及び乙は、相手方が次の各号の一つにでも該当した場合、何らの通知 催告を要せず本契約、個別契約、その他の契約の全部又は一部を将来に向かって解除することができます。                                

 ①重大な背信行為があったとき                       

 ②支払いの停止又は仮差押さえ、差押さえ、競売、破産、和議開始、会社更生手
   続、会社整理開始、特別清算開始の申し立てがあったとき          

 ③甲、乙いずれかの責めに帰すべき事由により請負業務が著しく遅延し又は不能
   になったとき                               

 ④甲、乙が相手方の債務不履行について、相当の期間を定めて催告したが是正さ
   れないとき                                
                                      
 第19条(契約の変更)                          

 本契約及び個別契約は、甲、乙双方が署名(記名) 押印した書面によってのみ変更ができます。ただし、個別契約に別段の定めがある場合には、この限りではありません。                                   

 第20条(管轄裁判所)                          

 本契約及び個別契約に関する訴訟については、○○○地方裁判所をもって合意の管轄裁判所とします。                             

 第21条(協議)                             

 本契約あるいは個別契約に定めのない事項及び本契約あるいは個別契約の各条項に疑義を生じたときは、甲、乙協議し信義誠実の原則に基づき円満に解決するものとします。                                   
                                      
 本契約の締結を証して甲、乙が署名(記名) 押印した本契約の原本2通を作成し、各自1通ずつ保有するものとします。                   

  平成   年  月  日                          

                      甲                  
                                      
                                      
                      乙                  
                                                                                

 

 

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