2 責任制限条項の契約文例
(1)責任制限条項の定め方

 1)責任制限条項のポイント

 一つの方法は「損害賠償額の予定」をすることである。すなわち、「将来この契約からトラブルが起こって損害を生じた場合でも、実際の損害額とは関係なしに、当初取り決めた額が損害額になる」とすることである。これが賠償額の予定である。この額については裁判所も増減できない。

 ここでの責任制限というのは、賠償範囲を明確にすることがポイントになる。具体的には料金総額、契約金額でもって損害賠償の予定とすることが考えられる。しかし、これは通常損害のことで、特別損害については別に取り決めておくことが必要である。この点について、文例1~3(次ページ)では「特別損害については一切責任を負わない」と取り決めている。

 なお、「特別損害、通常損害を問わず契約金額を賠償額の限度とします」という取り決めでもよいが、どのような形式をとるにせよ責任制限条項は絶対に必要だと考えられる。

 ただ、契約金額などに比べて、あまりにも損害賠償の予定額が低い場合、例えば、1千万円の金額に対し賠償金を10万円と決めてあるような場合は、民法90条の公序良俗に違反する契約として無効になる恐れがある。この公序良俗に反するかどうかの判断の基準は、当事者の力関係なども考慮される。元請けと下請けというような関係で下請け会社にきわめて不利な契約は、公序良俗に違反する恐れがより強くなるといえる。

2)責任制限条項の問題点-無意味な定め方の例

 「相当の注意をはらったにもかかわらず発生した損害について賠償責任を負わない」と
いった定め方をしている例もあるが、法的には無意味な条項である。この条項を逆に読むと、「過失があったときには賠償義務を負います」ということになり、なんら責任制限になっていないのである。ここで言っている責任制限とは、万が一、過失によって相手に損害を与えた場合にどのように責任を軽減するかということである。

 

 

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