第15章  外 部 委 託 契 約 書

 

1 外部委託契約
 外部委託は、一般的には継続的な取引関係として行われる。従って、まず基本契約書を取り交わし、具体的な受発注は注文書によって行うのが一般的である。外部委託契約書はユーザーとのシステム開発の受託契約書とは逆の関係になる。すなわち、ユーザーとの契約で責任制限をしなければならない点について、責任制限をさせない契約にしておく必要がある。この意味で第1章~第6章の各説明を参照していただきたい。ここでは、これらのことを前提として契約書例だけを掲げることにする。

 また、取引にあたって外注先に提示するルールや発注仕様書、外注管理関係の文書については第23章を参照していただきたい。

(1)外注委託基本契約書(契約1)

 システム設計からプログラミングまでの包括的な外注委託契約書例である。当然、ユーザーとの契約よりも厳しい内容になっている。この点については、第6章、第7章の契約書と対比していただきたい。

 契約1 外注委託基本契約書     

            


システム開発委託基本契約書 

 ○○○株式会社を委託者とし、○○○株式会社を受託者として、第1条に定めるシステム開発業務(以下本件業務といいます)の委受託について、以下のとおり契約します。                                  
                   第1章 総  則   

 第1条(定義) 

 本件業務とは、委託者が委託者または委託者の指定する第三者のために行なう下記の業務をいうものとし、その具体的作業内容は第2条の契約に基づき第6条の実施指図において定めるものとします。                       

 ① コンピュータを利用した業務処理システム開発のための調査・分析・設計、プ
  ログラミング等のソフトウエア作成業務                  

 ② 作成ソフトウエアの稼働、利用等に関する援助              

 ③ 前2号に付帯するその他の業務                     

 第2条(適用)

 受託者が本件業務を実施する場合は、委託者と受託者は個別業務ごとに別に契約(以下個別契約といいます)を締結するものとします。             

 第3条(適用)

 受託者は、本契約の締結にあたり、下記の書類を委託者に提出するものとします。

 ① 商業登記簿謄本(3か月以内に発行されたもの)             

 ② 受託者の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)           

 ③ 連帯保証人の印鑑証明書(3か月以内に発行されたもの)         

 ④ 会社概要、業務調査・経歴表                      

 ⑤ 主要技術者業務経歴書                         

2 前項の各号について変更があった場合は遅滞なく変更後の書類を提出するもの
 とします。                                 

3 委託者は、個別契約の締結にあたり、その他必要な書類の提出を求め、必要な
 調査を行なうことができるものとします。                   

 第4条(本契約の有効期間)               

 本契約の有効期間は、平成 年 月 日から平成 年 月 日までとします。ただし、期間満了の3か月前に委託者又は受託者から別段の意思表示がないときは、同一の条件をもってさらに1年間継続するものとし、その後も同様とします。     

2 前項に定める本契約の有効期間内に成立した個別契約は、本契約の有効期間
 にかかわらず個別契約で定める期間中有効に存続するものとします。

             第2章 個別契約の成立 

 第5条(個別契約の成立)  

 個別契約は、委託者から受託者に対して委託者所定の発注書を発行し、これを受けて受託者が委託者所定の請書を発行し、この請書が委託者に到達した日に成立するものとします。ただし、委託者、受託者のいずれかが必要と認めたときは、協議のうえ個別契約として別途契約書を取り交わすものとします。             

2 個別契約の委託金額は、個別契約に特別の定めがない限りプログラミングにつ
 いては記述したプログラムの数量でもって、システム設計等については投入する労
 働量(人月計算)でもって決定するものとし、その委託金額算定の基礎となるプログ
 ラム1行当たりの金額及び業務別の一人1か月間の金額は別に定めるものとしま
 す。
                                    
3 前項の委託金額算定の基礎となる金額は、毎年 月に見直すものとします。  

             第3章 本件業務の実施  
 第6条(実施指図) 

 受託者は、委託者所定の作業仕様書又は委託者が必要に応じて作成する作業指図書もしくは指示(以下総称して実施指図といいます)に基づき本件業務を実施するものとします。                                 

 第7条(実施要員)   

 受託者は、個別契約ごとに委託者の実施指図に適応できる能力を有する技術者(以下技術者といいます)を自己と雇用関係にある技術者の中から選任し担当させ、これを委託者所定の書面により通知するものとします。               

2 前項の受託者の行う技術者の選任について、委託者は意見を述べることができ
 るものとします。                              

3 受託者が受託者の事由により技術者を変更する場合は、事前に委託者に対して
 その理由及び変更対象技術者を書面にて通知するものとします。         

 第8条(指定実施場所) 

 本件業務の実施上必要のある場合、受託者は本件業務を委託者の事業所内又は委託者の指定した場所(以下合わせて指定実施場所といいます)において実施するものとします。                                  

2 受託者が本件業務を指定実施場所で実施する場合、委託者は受託者のため自
 己の負担において必要な独立した作業場所、その他必要な機器等を確保し、受託
 者に提供するものとします。ただし、機器の使用については別に定めるものとしま
 す。 

3 受託者は、指定実施場所の使用にあたり委託者もしくは委託者の指定した者の
 定める規則を遵守し、指示に従い、その秩序維持及び安全衛生の確保に努める
 ものとします。                                 

 第9条(指揮命令の禁止)

 前条に基づき指定実施場所において本件業務を実施する場合といえども、委託者は受託者の技術者に対して直接指揮命令はできません。              

 第10条(現場責任者) 

 受託者が指定実施場所において本件業務を実施する場合、受託者は現場責任者を指定実施場所ごとに定め、これを書面でもって委託者に通知するものとします。  

2 前項の現場責任者は、指定実施場所内の受託者の技術者、その他受託者の担
 当者を統括し受託者の定める規則に基づき就業管理を行ない本件業務の実施に
 関する一切の事項を処理する責任を負うものとします。

3 現場責任者は、指定実施場所内で行なわれる本件業務の実施について受託者
 を代理する権限を有するものとします。                     

4 受託者は、受託者が前項の現場責任者の権限に対して制限を設けた場合は、
 文書により委託者に通知するものとします。                   

 第11条(技術者等の変更) 

 委託者は、受託者の現場責任者、技術者、その他担当者の中に本件業務の実施について著しく不適当な者がいると認めたときは、その理由を付して受託者に通知し、受託者に必要な措置を要求することができるものとします。            

 第12条(実施指図の資料等の管理)

 受託者は、実施指図の資料、その他委託者から入手する一切の資料(以下資料といいます)について、善管注意義務を負い、その保管管理に一切の責任を負うものとします。                                   

2 受託者は、資料を委託者の指定した目的以外に使用してはならないものとし、そ
 の内容を第三者に開示することはできません。                

3 受託者は、委託者の承諾なくして方法の如何を問わず資料を複製、複写すること
 はできません。                              

 第13条(第三者への再委託禁止) 

 受託者は、本件業務を自ら実施するものとし、委託者の事前の書面による承諾のない限り本件業務の全部ないし一部を第三者に再委託し又は代行実施させることはできません。                                  

 第14条(再受託者の通知等)

 委託者の書面による承諾をもって受託者が第三者に本件業務の一部を再委託又は代行実施させる場合、受託者は再受託者(代行実施者等、名称の如何を問わず受託者に代わって本件業務を実施する者をいいます)について、その氏名、業務の範囲、その他必要事項を委託者に通知するものとします。                 

 第15条(権利義務の譲渡禁止)

 受託者は、本契約及び個別契約に関連して生じる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させてはなりません。

 第4章以降 次ページに続く

                       

 

 

 

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