2 要員派遣契約の法的性格と問題点
 要員派遣契約書の作成にあたっては、労働者派遣法上の諸条件を満たさなければならないが、この点については後述するので参照していただきたい。ここでは、要員派遣契約の法的性格を明らかにし、派遣契約書の作成にあたっての民法上の諸問題を取り上げる。
  
(1)要員派遣契約の法的性格

 派遣契約の締結によって、要員を派遣するソフトウエア会社はどのような責任を負うのであろうか。派遣した要員の技量が不足していたため業務が完成しなかったらどうなるのであろうか。また、派遣した要員が不完全な仕事をしたらどうなるのであろうか。

 請負契約では、請負人は、契約に定められた仕事や物を完成させなければ代金を請求できない。これに対して、派遣契約によりソフトウエア会社が負う債務は、派遣先に派遣契約で定められた人数の要員を派遣するということだけである。システムが完成するかどうかということは問題にならないし、仕事の結果についても責任を負うことはない。なぜならば、派遣契約では、派遣先の指揮命令のもと作業に従事するだけだからである。 
 もっとも、派遣契約で定めた能力を有しない要員を派遣した結果、派遣先が最善の指揮命令をしたにもかかわらず仕事を完成することができなかったのであれば、そのソフトウエア会社は派遣契約の債務不履行ということで、契約を解除されたり損害賠償請求を受けることもあろう。いずれにせよ、派遣契約によってソフトウエア会社が負う債務というのは、一定の能力を有した要員を派遣するということだけである。

 

 

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