第13章  情 報 処 理 契 約 書

 

1 非オンライン型情報処理契約の問題点と契約文例
(1)非オンライン型の情報処理サービス契約の問題点

 ここでは非オンライン型の情報処理サービス契約の問題点ついて取り上げる。

 この契約での問題は以下の点である。

  ①契約の法的性格(委任契約か、請負契約か)

  ②処理結果に誤りがあった場合の問題

  ③客先のデータの機密保持

  ④処理のためのソフトウエアの権利の帰属問題

  ⑤契約解除問題

1)契約の法的性格

 仕事の完成が代金の支払いの条件になっている場合には、契約の名称にかかわらず委任契約ということになる。

 また、料金の定め方として定額制と実績精算型の契約があるが、実績精算型では初めに単価契約を締結するのが一般的である。

 情報処理だけを取り上げればソフトウエア開発契約と異なり仕様が明確になっているので、一般的には請負型の契約を締結することになろう。

2)処理結果に誤りがあった場合

 処理結果に誤りがあった場合には、委任契約であれば債務不履行責任を、請負契約であれば瑕疵担保責任を負う。それぞれの責任の内容については、第4章を参照していただきたい。いずれにせよ合理的な範囲で責任制限をしていく必要がある。その一例が文例1である。

3)機密保持

 機密保持問題については、第3章を参照していただきたい。

 ここでは文例2のように機密対象及び保持の内容を特定しておく。

4)権利の帰属                                

 この問題については、第2章を参照していただきたい。

 <文例1> 

 第○条                                   

 1 第○条に定めた作業が完了した場合、乙はただちに業務完了報告を行い目的  物を甲に引き渡すものとします。                       

 2 前項の目的物の引渡しより、甲は○日以内に検査を行うものとします。    

 3 前項の検査の結果、誤りが発見された場合、乙は遅滞なく誤りを訂正し再処理
  を行うものとします。                           

 4 前項の誤りについて乙の負う責任は、その訂正及び再処理に限られます。 

 5 処理結果についての瑕疵責任、債務不履行責任等一切の責任は、第2項に定
  める検査の完了によってすべて免れるものとします。              

 第○条                                   

 本件業務の履行が遅滞する場合、乙は甲に通知し、その履行期限を甲、乙協議のうえ延長できるものとする                            


 <文例2> 

 第○条                                   

 1 本契約の履行にあたり甲より引渡を受ける下記のデータ類について、乙はこれ
  を機密として扱うものとし、その取扱いは、乙が甲に通知したデータ取扱責任者が  責任をもって行うものとします。                     

(略)

 2 前項のデータの機密保持のため、乙はその使用後ただちに確認のうえ旋錠の
  できる保管場所に保管するものとし、また、下記の行為をしないものとします。  

  ① 無断で複製すること                        

  ② 本件業務の担当者及び関係者以外に閲覧もしくは貸し出すこと      

  ③ 乙の通常の場所から移動させること                  

  ④ その内容を本件業務の担当者及び関係者以外に開示すること       

  ⑤ その他機密保持上有害な行為をすること                

 3 第1項のデータ類及び複製物が不要になった場合、乙は直ちにこれを甲に持参  し返却するものとします。                         

 4 全各項に定めるほか、乙は、本件業務上知り得た甲の人事、財務、営業につい
  ての機密を担当者及び関係者以外にもらしてはいけないものとします。     

 5 本条の規定は、本契約終了後も有効に持続するものとします。       


 権利の帰属の一例として文例3を掲げることにする。

 <文例3>

 第○条                                   

 1 本契約履行のために乙によって作成されたプログラム等は、本契約終了後ただ
  ちに甲に引き渡すものとします。                      

 2 前項の規定によって前項のプログラム等の著作権が甲に移転するものではあり
  ません。                                 

 3 本契約終了後は、第1項のプログラム等を各自が適切とみなす方法で任意に複
  製、変更し利用できるものとします。                   


5)契約解除問題

 一般に情報処理契約は継続的取引である。受託者としては、相当期間にわたって受注があるものとして設備投資などを行うこともある。このようなことから契約の解除問題が出てくる。

 

 

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